動物医療栄養治療センター

参考文献

『がん治療革命「副作用のない抗がん剤」の誕生』 奥野 修司(著)

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※以下は、著者の許可を得て抜粋した内容です。

 

(p.5)この抗がん剤が普及すれば、おそらくがん治療に革命が起こることだろう。少なくとも抗がん剤特有の副作用がないことは、たとえ死をまぬがれないとわかっていても、患者の尊厳を損なうことがない。そのうえ、「寛解」の可能性もあるのだから、患者に希望を与えることができる。

 

(p.26)薬効のメカニズムの違いを一言であらわせば、「薬が腫瘍だけに届く」という優れた特性にある。

 

(p.26)世界で最初の抗がん剤は第二次世界大戦のさなかに毒ガスとして開発されたマスタードガス(ナイトロジェンマスタード)から誕生したように、基本的に抗がん剤はがん細胞にとっても正常な細胞にとっても猛毒なのである。だから、シャーレの上のがん細胞に直接抗がん剤を垂らせば、猛毒によってどんながん細胞も死滅する。ところが、シャーレでがん細胞を殺す濃度を、生体に戻した場合に換算してマウスに投与すると、すべてのマウスが死んでしまったという実験がある。最後はがんで死んだのか抗がん剤で死んだのかわからないということがしばしば起こるのは、抗がん剤はがん細胞だけをターゲットにできず、その毒性によって正常細胞もズタズタにするからである。

 

(p.27)正式名称は「P-THP」。Pはポリマー(高分子物質)で、THPはピラルビシンという抗がん剤である。ピラルビシンは、一九八八年に発売された古い抗がん剤。つまりP-THPとは、ピラルビシンをポリマーに結合させたものだ。

 

(p.40)「(略)大事なことは、QOL×生存期間だと思うんです。それなのに、みんな生存期間しか問題にしない。抗がん剤を投与したら生存期間は少し延びるかもしれないけど、QOLは落ちます。何もしなければQOLは保てますが生存期間が短くなる。P-THPの特徴は、QOLを保てたうえに、生存期間が延長することです。」

 

(p.95)しかし、リンパ節に抗がん剤を集められたら、転移がんをコントロールすることも不可能ではありません。当時は、”リンパ節を制すれば転移がんを制する”と言われた時代です。転移がんを制すれば、がんを制することもできると思ったのです。研究者として、リンパ節転移はぜひとも狙いたいところでした。

 

(p.117)

図3-2を見てください。左側が血管で、右側ががん組織です。大きめの●が高分子で、この●にヒモでつながっている米粒のような〇が爆薬の薬剤です。

この図は、P-THPが次の三段階を経て腫瘍内部に到達することをあらわしています。

第一段階 EPR効果によって腫瘍に集まる(腫瘍部の血管から漏出する)。

第二段階 腫瘍周辺の酸性pHで切れて高分子から薬剤が離れる。

第三段階 トランスポーター(グルコースを運ぶタンパク質)で内部に運ばれる。

 

(p.134)それだけではない。夫人は夫の変化に目を瞠ったという。

「痛くて寝れないといっていたのに、点滴するとあっという間によくなったんです。角際の部屋だったのですが、それまで車椅子でしか移動できなかったので、その日も車椅子を出そうとしたら、主人が『いらん』といって、自分の部屋からトイレまで歩いていったんですよ。私たちもびっくりしましたが、先生のほうがもっと驚いていました。三週間ほどしたら、車に乗って大好きなラーメンまで食べに行ったんです」

 

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